たたかいによって勝ち取ったもの
1解決内容
 2002年7月29日、(株)日立製作所と日立神奈川争議団及び日立闘争神奈川支援共闘会議との間の紛争解決に関する和解協定書の締結を行い、11年11ヶ月に及んだ闘争に終止符が打たれ、日立神奈川争議は全面解決をする。
(1)格付け是正・貸金是正  格付け・賃金是正の内訳。
提訴者 解決時
年齢 格付け 賃金是正(円) 提訴前 解決時 佐藤 明 59 総合職8級 総合職6級 70,000 濱永美津江 58 執務職1級 総合職7級 70,000 須崎明美 54 技能職1級 技能職1級・指導員 35,000 園田安子 53 技能職2級 技能職1級・指導員 35,000 奥脇美好 53 技能職2級 技能職1級 30,000 原 大雄 53 技能職2級 技能職1級・指導員 35,000 中村由紀子 53 執務職2級 総合職8級 70,000 関 知男 52 執務職2級 総合職7級 70,000 小島崇義 49 執務職2級 総合職7級 70,000 注)自主交渉の第10回交渉(2001年8月)で大枠合意した時点で全員の昇格を果たした。
提訴外者 格付け 賃金是正(円) 人数 提訴前 解決時 A 執務職1級 総合職8級 35,000 2 B 総合職7級 総合職6級 35,000 1 C 執務職1級 総合職7級 24,200 1 D 執務職2級 執務職1級 24,500 1 E 執務職2級 執務職2級 24,500 2 F 技能職3級 技能職2級 23,000 1 G 技能職2級 技能職2級 23,000 1
(2)退職金ポイントの加算                   単位:ポイント
区分 提訴者 2次提訴者 提訴外者 総合職 500 250 執務職 350 170 技能職 250 250 150    


(3)年金ポイントの加算                   単位:ポイント
区分 提訴者 2次提訴者 提訴外者 総合職 480 240 執務職 340 170 技能職 240 200 150    





2 たたかいの中で勝ち取った職場の変化
 争議団員は争議解決の翌日会社の門前で「解決の報告とご支援へのお礼」のピラを配布し、職場の朝礼や会議でも争議解決の報告をしました。
何人かの人たちから「よかったね」と声をかけられましたが、争議の解決は職場でも好感を持って迎えられ職場での存在感も出て原告にとって働き易い職場に変化してきています。
主には次のような変化があります。
(1)昇進・昇格
 【原告】
  ① 争議解決により2名(1名は提訴外者)が総合職6級に昇格しましたが、争議解決後、この2名のために技師任用の発表会を設定し、発表後技師に任用した。
  ③ 旧戸塚工場で女性では2番目に指導員になった。
  ③ 旧横浜工場で高卒女性ではじめて総合職になった。
 【原告以外】
  ① 91年度までの日立労組賃金実態調査時報(日立全社)によれば高卒事務技術糸の女性の企画職(今の総合職)は0だったが提訴後の92年度には21人が企画職に編入されている。
  ② 執務職の女性が総合職を希望し、研修発表を終え、総合職に編入された。執務職女性の総合職への編入が目に見えるようになった。
  ③ 事業所ではじめて執務職女性が特称者になった。
  ④ 事業所ではじめて技能職や執務職の女性が指導員になり、そのうちの1人は監督指導職になった。
(2)教育
【原告】
 ① 上長に要求し、教育を受けた。
 ② 女性原告が新たな機械操作につくとき、上長から安全教育をするからと言われ、「動力プレス機械の金型調整の特別教育」を受講し修了証をもらった。入社以来始めて社外での教育を受けた。
 ③ 技能職の職場で今まで女性のパソコン教育はなかったが、要求してパソコン教育を実施させた。
 ④ 途中で研修を止められていた玉掛け講習会を01年3月に再度受けて、習得した。
【原告以外】
 ① 技能職の高卒の女性が男性と同じように1年間、養成所に入り教育を受けられるようになった。
 ② これまでは男性しか受けられなかった、日立工業専門学院への受験にも道が開け、合格者が出た。
 ③ 事業所で執務研修員論文発表に高卒女子が年1~2名加わるようになった。
 ④ 大卒女性が事業所で初めて海外研修に3加した。
 ⑤ 大卒の女性新入社員が現場実習を男性と同じように行うようになった。
 ⑥ 新卒で現場に配属された女性に技能検定試験の教育をすぐ受けさせるようになった。
 ⑦ 高卒女性が宿泊を伴う研修に3加するようになった。
(3)仕事
【原告】
 ① 開発関係の主任技師と組んで、米国のショーに出した試作品を任された。
 ② 期の予算編成に当たって予算方針を出させられた。
 ③ 課のマニュアル予算の取り纏めを依頼された。
 ④ 以前は他の人と直接関連を持たない仕事だけを担当したが、同じプロジェクトの1部を担当することが多くなってきた。
 ⑤ 仕事を通じて自分をPRするようにと課長が適宜アドバイスをしてくれ、他部署の部長やセンター長とメールのやりとりや、直接話すようにと仕向けてくれるようになった。
 ⑥ 担当の仕事に対してその進捗状況を朝礼で発言を求められるようになった。
 ⑦ 「設計・試作での機種開発検討会」に出席できるようになり、資料準備をまかされ、内容によって発言を求められるようになった。
 ⑧ 職場で仕様書の管理を全面的に任されるようになった。
 ⑨ 指導員になる前は、正指導員の指示で作業をしていたが今は作業の1週間分の予定をくれるようになった。
 ⑩ 機械の点検表のチェックの責任を持たされるようになった。
 ⑪ 自動試験器などの機械操作に女性もつけるようになった。
 ⑫ 技能職女性が初めて出張して国際工作機械見本市に行った。
 ⑬ 技能職女性がテレビ会議に3加した。
【原告以外】
 ① 女性への仕事の与え方がアシスタントから、自分が責任を持つ仕事へと変わってきている。
 ② 部で女性が初めて海外出張をした。
 ③ 購買補助から購買担当者として登録された。
 ④ 執務職女性の会議3加者や出張者が増えている。
 ⑤ これまでは男性しか現場で指示をしていなかつたが、大卒の女性が現場にきて、現場の仕事の指示をするようになった。
(4)福利厚生
  【原告】
 ① 扶養手当は共働きの場合、収入の多いほうに支給するということで、協約が改訂になった2年前にさかのぼって支給された。
【原告以外】
 ① 産休、育休を取って働く女性が増えている。
 ② 女性が世帯主になれば住宅融資が受けられるようになった。
 ③ 女性も世帯主になれば社宅入居できるようになった。
(5) 職場の人間関係・雰囲気など
【原告】
 ① いろいろなところで「話をするな・近づくな」と言っていた人が自分から「おはよう」と声をかけるようになり、差別的な扱いもあまり目に見えなくなった。
 ② 冗談や自分白身の話をしてくる人が多くなった。全体的に爽やかな雰囲気になった。
 ③ これまでとは逆に期待されているような感じや、頼りにされている面が職場内で見られるようになってきている。
 ④ 争議解決後は自分の元の職場がなくなり、早期退職でほとんどの人が辞めてしまってあまり知らない人ばかりだったが、争議解決をとても好意的に受け止めてもらえた。守衛を始め何人かの人に争議が解決した事を話すとおめでとうといってくれた。
 ⑤ 職場の女性にこれからの人達にはいいことだねといわれた。在職中、私達の闘いを支援してくれた女性が多数解決集会に3加してくれた。
 ⑥ 組合のこととか職場の中での問題点など、周りの者からよく話し掛けてきたり、挨拶をされたりする。
 ⑦ 職場集会などでの発言に対して職場運営委員や執行部役員が集会終了後も話をし、「頑張ってください」と私たちの活動に期待をして声をかけられるようになった。
 ⑧ 職場の女性たちが私たちが闘い、解決したことを喜んでくれている。解決後朝礼で話したときのことを「きらきらと輝いていたよ」と言ってくれたり、他の女性は「あなたたちが道をひらいてくれたのよ」といって喜んでくれた。
 ⑨ 2003年3月より職場の安全推進委員になった。勤続35年たって、はじめて委員と名のつく肩書きがついた。
 ⑩ 組合民主主義の問題で、今までは大会に3加するのは上長の裁量で行なわれていたが、こちらで要求して規約改正をさせ、代議員選挙を行なわせることができた。
 ⑪ 争議解決間際の評議員選挙で前進した。
 ⑫ 女性にも名刺が作られるようになった。

 ⑬ 名簿の記載順序が男性が先に書かれていたが所員番号順になった

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